日本では西暦のほかに、元号が使われています。
明治・大正・昭和・平成という具合ですね。
この元号は同時に天皇の諡(おくりな)になるのです。
つまり、「大正天皇」「昭和天皇」というように。
亡くなられたあとの名前になります。
それまでは「今上天皇」つまり「今の天皇」という意味で使われる言葉で呼ばれるのです。
実際にはそう呼ばれることはほとんどなく「天皇」陛下とお呼びします。
「元号」の変遷
ところが、明治時代より前は、元号は天皇の譲位に関係なくしばしば変えられていました。
たとえば歴史の勉強でよく出る聖武天皇の頃。
元号は「神亀」(じんき)⇒「天平」(てんぴょう)⇒「天平感宝」(てんぴょうかんぽう)と変わりました。
しかも天皇の諡は「聖武」です。
元号とは別ですね。
つまり、饑饉や地震などの災害や内乱のあとに「人心を一新」するために元号を変えてきたのです。
ところが、明治時代になって、「一世一元の制」が出されて、元号は天皇の皇位継承時にのみ改定されるように決められました。
しかも、「皇位継承」は天皇の崩御(死亡)の場合だけ。
従って、明治・大正・昭和とそれが受け継がれたのです。
が、天皇が生前の譲位を希望されたらどうなるか?
それが現在(平成29年)の問題ですね。
表記の問題
「元号」は特に明治以降、簡単には変更されなくなったこともあって、公文書(役所の書類)や新聞などの発行の日付にも使われてきました。
年代を記入する欄には、西暦と元号の両方を書くようになっていたり、元号だけ、というものもあって、西暦と元号の両方を覚えておく必要があります。
ちなみに
「平成29年」は西暦2017年ですね。
それだけ、日本では「元号」が広く使われてきたわけです。
また、明治以降については、元号がそのまま時代の特色というのか、「空気」を表す用語にもなっています。
「大正デモクラシー」とか、ちょっと趣は違いますが「昭和顔」とか。
「昭和30年代」などという言い方で、その時代が表現できるのは「元号」の効果と言えます。
「元号」もまた、日本の文化の一つと言えるでしょう。
まとめ
「昭和」から「平成」に元号が変わってから、29年。
昭和生まれで一番若い世代がもう30歳になろうとしています。
元号はある意味わかりやすい表現方法で、西暦○○年だけでは実感しにくい「時代の色」とか「雰囲気」を伝えてくれます。
そう言う意味で広く認められ使われていますから、今後も使われてゆくのではないでしょうか?
また、元号は天皇制とも深く関わっているので、日本という国のあり方の根幹となるモノ、とも言えるのです。
これまでもそうであったように、日本に生きる人々の総意によって、自然と受け継がれるものと、そうでないものは決められてゆくでしょう。
法律や制度を超えて、淘汰されるものがある、ということなのだろうと思っています。
Originally posted 2017-01-12 05:46:15.